泊まって、感じて、Lohasっていいね スーパーホテル

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清和綜合建物は、日本政策投資銀行のグリーンビルディング認証で、所有するビルが極めて優れた環境・社会への配慮がなざれているとして「ゴールド」の評価を取得するなど、環境への取り組みを強く打ち出す不動産企業。スーパーホテルは同社とパートナーシップを組み、新たなホテル建設へ乗り出しています。環境経営をスローガンに掲げる両社が手を携えることで実現できるものは何か…青木芳郎会長をお迎えして対談を行いました。

山本 梁介/青木 芳郎 氏

パートナーシップが実現するもの

司会
2012年に東京・大塚、そして2013年に八重洲。清和綜合建物はスーパーホテルのオーナーとしてパートナーシップを築いていかれます。青木会長はなぜスーパーホテルとの事業提携を決断されたのですか?
青木
ホテル経営の既成概念にとらわれない、斬新な企業哲学に大きな感銘を受けたからです。ホテルにはラグジュアリーからビジネスまで様々なクラスが存在し、それぞれの価格帯の中で最高のコストパフォーマンスを実現しなければならない。山本会長は、そのバランス感覚が素晴らしいと思います。過剰を排したミニマムな設備やサービス体制でありながら、眠りや食事には徹底してこだわり、環境という新しいテーマでお客様の共感に訴える…ここまで「やること」と「やらないこと」を明確にする、選択と集中のバランスが研ぎ澄まされた企業は、多くはないでしょう。
山本
ありがとうございます。青木会長とは経営に対する考え方が似ていると私も感じています。例えば清和綜合建物の「虎ノ門清和ビル」が2011年に日本政策投資銀行のグリーンビルディング認証制度でゴールド認証を取得されましたね。経営理念に「LOHAS」を掲げる当社と、同じ方向を見ておられるのではないでしょうか。
司会
ゴールド認証の審査基準は非常に厳しいことが知られています。それはスーパーホテルにおける「エコ・ファースト企業」認定と同じ、企業努力の賜ですね。両社がパートナーシップを組む「スーパーホテル東京・大塚」「スーパーホテルLohas東京駅八重洲中央口は、環境配慮においてどのようなポイントがあるのでしょうか?
青木
調湿や消臭効果に優れた自然素材、珪藻土を積極的に取り入れることです。もともとスーパーホテルは珪藻土を使用しておられ、今回も山本会長からご提案がありました。私自身も珪藻土を使った部屋にいると、何ともいえない心地良さを感じたり、気持ちが落ち着いたりして、すっかり魅せられてしまいました。
山本
八重洲については、再生可能エネルギーシステムの導入も視野に入れたいと思います。環境負荷が少ないクリーンエネルギーを活用するというだけでなく、東日本大震災を経験したことで、独立電源を持つことも我々にとって喫緊の課題だと感じたからです。

震災体験から得たノウハウを共有する

司会
東日本大震災がもたらした意識変化は、やはり大きなものでしたか?例えば防災対策や地域連携において、新たに注目すべき取り組みはありますか?
青木
実は、あまり変わっていません。というのは当社はもともと防災については「Be prepared(用意周到な準備)」をモットーにした入念な取り組みを心掛けてきたからです。備えがあれば想定外はありませんから。ビルの防火訓練にしても形だけでなく実際に煙を充満させるなど実践的なシミュレーションによって対応力を鍛えています。
司会
その姿勢が評価され、2012年に不動産会社では初の日本政策投資銀行による「DBJ BCM格付」を取得されましたね。スーパーホテルにおいては、いかがですか?
山本
実際に被災した東北エリア支店の経験を、組織全体の中で共有する試みを進めています。前例のない状況の中で、何が必要とされたのか。これまでのマニュアルはどこを改善すべきなのか。従業員達が現場で培ったノウハウを、発表会などを通じてシェアします。
青木
地震発生後、お客様を閉め出してしまったホテルが多い中で、スーパーホテルは避難所として人々を受け入れ、水や食料の提供などあらゆる支援を惜しまなかったと聞いています。
山本
全て現場の判断で行ったことです。現地の方々には非常に喜んでいただき、東北における我々の認知度や好感度が大きくアップしました。
青木
御社の従業員教育が、いかに自律型の人材を育成しているか証明されたわけですね。自らの頭で考え、物事にコミットする人材…それこそが20世紀型から21世紀型への社会の転換期に必要とされていると思います。

21世紀のラグジュアリーはLOHAS

司会
21世紀型とは、どういう社会だとお考えでしょうか?
青木
人口も経済も右肩上がりで利益を追求してきた20世紀から、一人ひとりの幸福や感動を重視する21世紀型ヘ…そんな大きなパラダイムシフトが、あらゆる業界で起こるのではないでしょうか。スーパーホテルが以前から掲げておられるLOHASも、20世紀には若干先取りの傾向がありましたが、もはや当たり前になりつつあります。この21世紀型アプローチのカギを握るのは、女性でしょう。女性の感性を持って先を読めることが、時代のニーズに応えられることだと思いす。
司会
スーパーホテルにも女性専用のフロアやサービスがありますね。山本会長は、21世紀型社会について同じお考えですか?
山本
はい、同感です。20世紀のラグジュアリーは、豪華な内装や食事など文字通り賛沢を意味するものでした。しかし私は、21世紀のラグジュアリーはLOHASだと考えているのです。自然や社会に良いことをする、自分自身が健康になる・それこそが現代の至福であると。人間の脳から至福のホルモンが放出されるのは「人のために、世の中のために」行動をした時だと、心理学の本で読んだことがあります。21世紀型の企業として、このような価値観を実体験できるホテルづくりを目指しています。
青木
なるほど、「非日常と日常」という言葉で置き換えれば、20世紀はラグジュアリーという言葉に非日常性を求めていたわけです。現代においては、日常の質を高め、日常性を磨き上げることにこそラグジュアリーが存在しているのですね。

日常性を磨き上げるということ

司会
目常性を磨く、というのはスーパーホテルにおいては具体的にどのよう嫁取り組みなのですか?
山本
例えば朝食ですが、現状の健康朝食をさらに改善するプランがあります。シティホテルで出している1,500円以上もする朝食、あれをそのまま簡素化して無料で出しても驚きや感動がありません。それよりも自宅の朝食に近いスタイルで、しかも有機野菜や無添加の調味料にこだわったものを提供できないかと考えています。しいて言えば、自宅で奥様がものすごく頑張って作った朝食のイメージでしょうか。
青木
まさに日常性を磨き上げた朝食ですね。
山本
客室もそうです。「第二の我が家」でありながら、我が家以上に快適でくつろげる空間を実現することです。客室もそうです。「第二の我が家」でありながら、我が家以上に快適でくつろげる空間を実現することです。
青木
難しい課題ですね。やたら広かったり、天井が高ければ良いというものではなく、空調も採光も含めて最も人間の生理に合うような"ちょうど良い居心地"を追求することですから。それは我々も常に模索しています。
山本
そして最も大切なのは、清潔であることでしょう。いかに汚れないように、汚されないようにするか。それは日頃のメンテナンスがいかに合理的にできるかにかかっています。
青木
スーパーホテルのベッドは下に隙間がありませんね。あれを見て掃除が合理的にできると感心しました。
山本
ホテルはやはり、人々の活力を養う場であるべきなんです。快適で、清潔で、くつろげる…それ以上に大切なことはありません。

深化するスーパーホテルへ

司会
合理化と顧客満足、そして環境経営は決して矛盾するものではないことが、お二人のお話でよくわかりました。今後の方針をお聞かせください。
山本
20世紀型、と青木会長が言われたように、我々は今まで主に規模の拡大を求めてきました。なぜなら、ある程度の企業規模がなければ、社会に対する発言力や責任感が生まれないからです。しかし100店舗を超えた今、広げるよりも深める時期が来たのではと思っています。
司会
具体的には何を深めるのでしょうか?
山本
当社の経営コンセプトである「LOHAS」を今以上に多角的に深めていき、さらなる顧客満足や地域貢献につなげていきたいのです。よく「売り手良し、買い手良し、世間良し」と言われますが、環境や健康をテーマにしていると、加えて「従業員良し」でもあるのではと感じます。環境や人に優しい経営を追求すると、現実には給料は同じでも仕事が増えたり煩雑になったりするわけです。しかし当社の従業員達は皆、喜々として取り組んでくれるんです。世の中の役に立っているという充実感が、仕事のやりがいと楽しさにつながっているのだと思います。
青木
自分達が幸福でなくては、お客様の幸福をお手伝いすることはできませんからね。私も各地のスーパーホテルを視察して、従業員の方が本当に生き生きと働いておられるのに、いつも感動を覚えます。LOHASという経営テーマには、従業員のやりがいを喚起するという効果もあるのですね。そんなスーパーホテルの「ベル・エポック」に、立ち会えることにワクワクします。これからもどうか、よろしくお願いします。
山本
こちらこそ。本日はありがとうございました。
大和田順子氏

司会・進行役/大和田順子氏

一般社団法人ロハス・ビジネス・アライアンス(LBA)共同代表。
NPO法人女子教育奨励会(JKSK)理事。
主著に『ロハスビジネス』(朝日新書)、『アグリ・コミュニティビジネス』(学芸出版社)など。