泊まって、感じて、Lohasっていいね スーパーホテル

トップ対談

イメージ

トップ対談にあたっては、慶應義塾大学特任教授の小林光氏をお迎えしました。小林氏は行政官として北九州や水俣市などの環境まちづくりに深く関わってこられた人物。「ロハス」と「地域活性」をミッションに経営展開するスーパーホテルとの共通認識を、大いに発見できたお話でした。

環境活動を通じて地方を元気にする

「環境を壊さない」ビジネス

山本
小林先生はかつて環境事務次官として、水俣病問題の解決や水俣市の再生に向けて対話を重ねられたと聞いています。水俣市にもスーパーホテルがあることをご存じですか?
小林
知っているどころか何十回と泊まっていますよ。現地のビジネスホテルの中では格段に快適ですし、ロハスやエコを掲げた取り組みにも好感を持っていました。「エコ泊」「エコひいき」も、よく利用していました(笑)。
山本
何という巡り合わせでしょうか。水俣の店舗は、私共が環境に配慮したロハスホテルとしての第一歩を踏み出したホテルなんです。
小林
環境活動をやっていると、このような偶然のつながりをよく体験します。あの人に会いたい…と願うと向こうからやってきたりね。自然が味方してくれるのでしょうか(笑)。私も山本会長には一度お会いして、なぜホテル業とロハスを結びつけたのかをお伺いしたいと思っていました。
山本
1999年、水俣市に新しく就任された市長より”公害都市から環境都市へ”というスローガンが掲げられました。そして2001年、地元の企業にも協力が求められ、当ホテルにも役所から要請が来たのです。もちろん環境が大切なことは当時から理解していましたが、最初は迷いましたね。お客様から「ケチくさい」と思われるのではないかと。
小林
2001年といえば環境省が設置され、政府がようやく環境政策に力を入れだした頃。ロハスやエコという言葉がまだ認知されていない時代です。山本会長が逡巡されたのは当然でしょう。
山本
最初はゴミの分別やリサイクルからのスタートでした。その頃から水俣市ではゴミを18種類に区分していたのです。しかし、しばらくすると私は気づきました。水俣市民の皆さんや、ホテルの従業員の顔つきが変わってきたな…と。人口3万人弱の小さな町が活気に溢れているのです。環境活動というのは、こんなに人を変えるものなのかと驚きました。
小林
そこから現在のような多彩な取り組みへ?
山本
ええ。ホテルのミッションは、お客様がぐっすり眠れること、元気になっていただくこと。環境活動も同じく、人を元気にするのであれば、ぜひやってみようと思いました。
小林
「ケチくさい」をブランドに変えていくところが素晴らしいですね。私はビジネスには2種類しかないと思っているんです。それは「環境を壊して儲ける商売」と「環境を壊さずに儲ける商売」と。これからの時代は前者のやり方では継続できない。時代の一歩先を見すえた山本会長の英断には驚くばかりです。

エコがストレスになってはいけない

小林
 「ロハス」のコンセプトでホテルを展開していくにあたり、宿泊客の反応はどうでしたか?
山本
最初のうちこそ「エコは、エコノミーのエコじゃないの?」なんて、おっしゃる方もいましたが、日を追うごとに理解が深まっていきました。特に、女性からの支持が圧倒的ですね。ロハスホテル、という点を評価していただいたリピーターも増えています。
小林
スーパーホテルは単に「ゴミを分別してください」「節電してください」ではなく、ロハスがいかに心地良いかをきちんと実感できる仕組みを作っていらっしゃる。そこが成功の秘訣なのでしょうね。
山本
環境負荷を減らしましょう、という抽象的な話では人は動きません。例えば、客室内に分別式ゴミ箱や個別のエアコンを設置する。バスタブには満水ラインを示す。照明はLEDにする…こちらが様々に工夫することで、お客様が快適にエコ活動に参加できる仕組みを作ることが大事だと思っています。エコ泊やエコひいきも同じです。簡単だから参加しやすい。
小林
その通りです。個人的な話になるのですが、私は2000年に自宅を本格的なエコハウスに建て替えました。結果的に、建て替え前と比較してCO2排出量は80%削減することができたんです。
山本
それはすごい。
小林
それまでは家族がつけた電気を消して回ったり(笑)、うるさい奴だと思われていたと思います。ある時、自動消灯スイッチにして、勝手に消えるようにしたら、私も家族もすごく楽になった。もちろん省エネの「心がけ」は大事ですが、家自体の構造をエコにすればいいのだと気づいたのです。エコをストレスに感じるようではいけない。あくまで快適に、楽しくなければ…とね。
山本
私共が目指しているのは、まさにそれです。今は「五感で感じるロハス」と謳って、無料朝食に有機野菜を取り入れたり、客室の天井を珪藻土にしたり、「ロハスは快適で気持ちのいいこと」だと五感で感じていただけるよう取り組んでいます。
 当ホテルには大浴場もあるのですが、これも実はエコなんですね。大浴場があると客室でお風呂に入りませんから、水の節約になるんです。しかしお客様は「大浴場が気持ちいいからスーパーホテルを選んだ」と喜んでくださいます。
小林
なるほど。私が泊まりたくなる理由がはっきりわかりました(笑)。

CSVは近江商人の「三方よし」

山本
私共は、環境活動を通して地域の活性化にも貢献していきたいと考えていますが、環境をテーマにまちづくりをすることのメリットを、どうお考えですか。
小林
やはり住民が自分の故郷に関心を持ち、その価値を再認識できることでしょう。先ほど山本会長が言われたように、住民の顔も生き生きとしてきますね。例えば水俣市。公害都市のイメージが今なお強い街ですが、海も空も驚くほど美しい。訪れた人は誰もが感動されますね。
山本
自らの土地に誇りを持つことが、地域創生のスタート地点ですね。私共は現在、三重県と滋賀県の2カ所にメガソーラーを持っていますが、これを単に売電するだけでなく、収益で地元の農家からお米などを購入してホテルの朝食に使っています。
小林
地域創生とビジネスを見事にマッチングさせていますね。近年、浸透してきたCSV(クリエイティング・シェアード・バリュー=共通価値の創造)は「事業活動と地域貢献の統合」を目指すものですが、スーパーホテルの試みはCSVそのものです。宿泊客は地産地消の朝食を食べることができる。地元の農家も潤う。そしてスーパーホテルの評価も上がる…昔から言われる、近江商人の「三方よし」ともいえますが。
山本
確かに。横文字でCSVと言わなくても、日本人は昔から、皆が幸せになるような経営を理想としていますね。本日は、これからの経営指針となるヒントを色々いただきました。
イメージ

小林 光氏

1973年慶應義塾大学経済学部卒業。同年環境庁(当時)入庁。1995年以降は地球環境部環境保全対策課長として地球温暖化防止法制(地球温暖化対策推進法)の国会提出などを担当。環境管理局長、地球環境局長、大臣官房長、総合環境政策局長を経て2009年7月より環境事務次官。2011年より慶応義塾大学大学院及び環境情報学部教授。2015年より現職。
水俣病被害者諸団体との和解、水俣地域の再生等を推進。自宅エコハウスの取組みでも著名。