泊まって、感じて、Lohasっていいね スーパーホテル

ステークホルダー・ダイアログ

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少子高齢化が進む日本において、労働力不足は喫緊の課題。その解決の糸口は、女性をはじめ高齢者や障がい者、外国人など様々な人が活躍できる職場環境だといわれています。今回のダイアログでは、女性のキャリアデザインにおける現状や課題、多様性(ダイバーシティ)が生み出す効果をテーマに議論を深めました。

テーマ:働く人もお客様も元気になるキーワードは「多様性」
開催日:2016年7月20日
開催場所:スーパーホテル本社

制度と風土の両輪で女性のキャリアを支える

山本(梁)
スーパーホテルではフロント職の女性が多いことから、社員の女性比率が全体の約6割となっています。しかし結婚・出産を機に退職を選ぶ社員も多い。女性のキャリアデザインを前向きに支えるため、どのような取り組みをすべきでしょうか。今回、ご参加いただいた関根さんが勤務される資生堂は、日本で最も女性の活躍を推進している企業と言っても過言ではないでしょう。ぜひ女性活用について助言をいただきたいと思っています。
山本(健)
資生堂といえば、昨年に世間を賑わせた「資生堂ショック」。育児中の社員にも、土日や遅番勤務に入ってもらうという制度を導入した改革です。あれは、どういう経緯だったのでしょうか。
関根
「資生堂ショック」というのはメディアが作った言葉なんですね。我々としては改革というより当然の流れでした。育児中の社員を優遇する制度の定着と共に、いつの間にかそれが既得権益化し、いつしか周囲の不満の声が大きくなってきました。社内全体のモチベーションが下がり、売上げにも影響し始めたんです。また同時に、育児中でもキャリアアップを目指す社員に、その機会を与えたい…そんな思いから「働きやすい会社から、さらに働きがいのある会社へ」と、制度の運営を正したのだといえるでしょう。
山本(健)
なるほど。既得権益を持つ社員の反発はなかったのですか。
関根
ほとんどありませんでした。なぜなら、この制度運用を見直すにあたり、会社が最も注力したのはコミュニケーションなのです。育児期の全社員と面談をして「どんな働き方がしたいのか」「子育て環境はどうなのか」を徹底的にヒアリングしました。その結果、多くの社員が子育て中でもキャリアアップを望んでいることがわかったのです。
山本(梁)
やはりコミュニケーションが大事なのですね。当社も上司と部下の面談を通して、現場の声や要望をしっかりキャッチできる制度を充実させていこうと考えています。
星山
大事なのは制度と風土の両輪ではないでしょうか。私共は出産で休職中の女性社員にも話を聞くのですが、「長期で休むと会社とのつながりが希薄になり、戻りたくても戻りにくい」という声が多くありました。復帰できる制度があっても、復帰しやすい風土がなければ無意味なんですね。そのため休職中の社員とはメールで頻繁に連絡を取るなどの努力が必要だと思います。
小南
私はこの春から総務部に異動になり、全国の店舗を回りながらアテンダント達のヒアリングをしていますが、若い女性社員の多くが自分のキャリアデザインに悩んでいるんです。自分は結婚しても出産しても、この仕事を続けたい。でも先輩社員を見ても理想のロールモデルが少なく、具体的にイメージができないと。
鈴木
私は大学で、女性だけでなく多様性のある働き方やその効果について研究しているのですが…日本のジェンダーギャップ指数は先進国でも低いんですね。結局、女性がキャリアアップしたくてもパートナーが長時間労働だったり、育児休暇が取れなければ難しい。日本全体の課題なんです。そんな中で資生堂やスーパーホテルの取り組みは、さすがだと思います。

ダイバーシティがイノベーションを生む

山本(梁)
佐藤さんは、アテンダントの接客教育のために全国のスーパーホテルを回っていただいています。やはりサービスの現場は、細やかな心配りなど女性の強みを生かせる職場だと思われますか?
佐藤
ことサービス業に関しては女性と男性の差はないと思っています。男性でも女性以上に細やかな心遣いのできる方もいらっしゃいますし、柔軟で優しい気配りを仕事で十分に発揮される女性もいらっしゃいます。これからは男性女性ではなく、個人の適材適所で多様な働き方をする時代ではないでしょうか。
関根
私も大賛成です。「イノベーションは多様性から生まれる」という思想は資生堂でも浸透しており、組織として発展するためにグローバル化はもちろん、※LGBTへの理解などダイバーシティを推進しています。
鈴木
大学でもダイバーシティ&イノベーションというワードが注目されています。ダイバーシティとイノベーションはセットで、多様性は革新につながるということ。資生堂は色々な意味でトップを走る企業ですね。
山本(健)
ダイバーシティの推進にあたり、企業が意識して取り組むべきは、やはり多様な人材を雇用することなのでしょうか?
鈴木
実はダイバーシティといえば属性のことだけではなく、働き方の多様性もこれからは重要になると思います。
山本(梁)
人生のステージに合わせて、個人の事情に合わせて、色々な働き方ができる制度を作ればいいということですね。
小南
スーパーホテルには産休や育休のシステムもあるのに、私がヒアリングする若い女性社員は、あまり知らないんですね。まずは、今ある制度を理解してもらい、活用してもらう。そうすれば多様な働き方が自然な形で定着するのではないでしょうか。
鈴木
周囲の理解や共感も大事です。私が面白いと思っているのは、管理職の育児体験に取り組んでいる企業があるんです。当人は迷惑でしょうけど(笑)、管理職の男性が育児中の社員とポジションチェンジする。体験を通じて大変さを知ると同時に、子供にも愛情が湧くので、その後の関係性がスムーズになるそうです。
星山
それは斬新な試みですね。立場を変えて物事を見てみる…という体験そのものがダイバーシティだという気がします。
山本(健)
女性に気持ちよく働いてもらえるためには、ワークライフ・バランスも大事だと感じています。関根さん、ワークライフ・バランスの黄金比などはあるのですか?
関根
人それぞれ、まずは人生設計関根 人それぞれ、まずは人生設計ありきではないでしょうか。育児期はライフに比重があるのは当然ですが、ワークも対価をもらう以上100%で向き合わなくてはいけません。この全てを女性一人が背負ってしまうと苦しくなるばかりですから、周囲や会社や行政のサポートを借りつつ、自分がどこまでやれるのかを判断しなくては。
佐藤
私の時代はイクメンという言葉もなく、一人で全部抱えていました。その点、今のご夫婦はうらやましい(笑)。奥様のキャリアをどこまで伸ばすかはご主人次第だと思います。
山本(梁)
男性には少し耳が痛いお話ですね(笑)。しかし非常に勉強になります。ライフだけでない、ワークにおける成功や生きがいも、現代の女性は必要としているんですね。
星山
そうなんです。仕事のやりがいは人生のモチベーションなんです。

「自律型感動人間」と「ロハス」をテーマに

関根
私は出張が多く、全国のスーパーホテルによく宿泊するのですが、他のホテルとサービスの質が明らかに違うのです。それが何なのかを知りたくて、本日は参りました。
山本(健)
我々が特別に秀でているわけではないと思いますが…会長の掲げた「自律型感動人間」という理念ですね、それを浸透させていることかもしれません。
鈴木
自律型感動人間とは、個々の自覚や多様性に任せたサービスということでしょうか。これも、まさにダイバーシティ(笑)
山本(梁)
個々の多様性というのはスーパーホテルの接客における基本ですね。単にお客様の不満解消というだけなら、仕組みで対応できる。しかしお客様に感動してもらうとなれば、自分で考えて自分で行動しなければ。
関根
その通りだと思います。自律型感動人間…育成のコツがあれば、ぜひシェアさせてください(笑)。
山本(健)
もうひとつ、環境に優しいホテルとして「ロハス」をテーマに掲げていることで、社員の意識が高まっていると思います。
佐藤
素晴らしいですね。スーパーホテルに宿泊すると、ロハスな取り組みや健康メニューを紹介する、社員さんの手作りパンフレットなどが置いてあって、いつも感心しているんです。
星山
例えば、北海道釧路のアルバイトスタッフが始めた「eco検定」もそうですね。彼女は環境のことを知りたくて、自発的にeco検定を取得したんです。そこから店舗に、全国に広がっていきました。今では全社員の半分近くが取得しています。
小南
現場で働くスタッフからすると、「ロハス」活動はやりがいにつながります。自分の仕事が人も、地球も幸せにすると思ったら、本当にモチベーションが上がるんです。
関根
なるほど。スーパーホテルのスタッフが、なぜ生き生きと輝いているのか…その理由がわかった気がします。
山本(梁)
私共も、これからの時代に実現していきたい新たなビジョンに出会うことができました。実りあるダイアログを実現くださった皆様に感謝いたします。
 本日はありがとうございました。

※LGBT:性的少数者を限定的に指す言葉。レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(出生時に診断された性と、自認する性の不一致)の頭文字をとった総称。

ステークホルダー・ダイアログ出席者

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関根 近子 氏

株式会社資生堂 顧問
美容部員として資生堂に入社し、2009年に本社国際事業部に。2014年、執行役員常務に就任。

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鈴木 暁子 氏

京都府立大学京都政策研究センター 上席研究員
人口変動やダイバーシティ、男女共同参画、SR(社会責任)に関する調査研究を行う。

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佐藤 純子 氏

日本航空株式会社国際線10年乗務後、接遇講師
スーパーホテルのアテンダントを教育する接遇講師として全国の店舗を回っている。

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山本 梁介

株式会社スーパーホテル 会長

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山本 健策

株式会社スーパーホテル 常務取締役

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星山 英子

株式会社スーパーホテル 経営品質部部長

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小南 優子

株式会社スーパーホテル 総務部課長代理