常務取締役 企画本部長 兼 海外事業本部長

 ASEAN諸国の、広い荒野。見渡す限りなにもない土地。

 海外ではそんな場所がスーパーホテルの出店予定地となることもあります。「ホテルは立地がなによりも重要」といわれます。私たちは、そこに新たな街が立ち上がり、店がひしめき合い、多くの人が行き来する未来をイメージしているのです。

 例えば「日本企業を誘致して工業団地を作りたい」という国家レベルのプロジェクトに、初期段階から参加することもあります。新たな街を創造する。その起点に、スーパーホテルがなるのです。

 日本企業の工業団地には、日本からビジネスマンが出張で訪れます。そこに宿泊する場所としてスーパーホテルがあれば、天然温泉や日本式の朝食、ぐっすり眠れるベッド、なにより日本ならではのおもてなしで、「帰ってきた」と実感していただき、体を休めてもらい、気持ちよくまた仕事に出かけてもうらうことができる。それはお客様を「おかえりなさいませ」で迎え、「いってらっしゃいませ」で送り出す、スーパーホテルのひとつの理想のかたちなのです。

 また、人が集まる場所には、商店やレストランも出店される。そうして新たな街を創り出すことで、ビジネスを生み、雇用も創出することができるのです。

 狙いはそれだけではありません。

 海外のスーパーホテルは、支配人以外は現地スタッフで運営を行います。その上で日本と同様のサービスを行うのですから、教育には非常に力を入れます。私たちの理念に共感し、「おもてなし」の素晴らしさを知った人を世界に増やすことができる、という狙いもあります。

 また、ASEAN諸国の平均所得からすると、スーパーホテルに宿泊するという行為はまだまだ贅沢です。ですが、私たちのホテルを起点として街が興り、発展すれば「どんなホテルなのだろう」と興味を持ってもらえる。そうすれば晴れの日にスーパーホテルに泊まろう、といった使い方もしてもらえる。その際に、日本ならではの「おもてなし」に感動して、好きになっていただきたいのです。そして、日本に旅行で訪れたときに「スーパーホテルなら安心だ」と選んでいただきたいのです。

 スーパーホテルを経験した人が、おもてなしに共感し、自分たちの国に広め、また日本でもスーパーホテルを選んでもらう。つまり、スーパーホテルが、世界のスタンダードになるための、一歩。そんな遠い未来への投資でもあるのです。

 今後、日本が世界に打って出られるコンテンツはサービス業に他ならない、と私は考えています。その中でも、世界で評価の高い「おもてなし」という日本独自のサービスは、強い武器となるはず。それを海外に伝えたい。日本のおもてなしを世界に広め、その国の「おもてなし」という文化にして、定着させたい。そんな思いがあるのです。

 私たちはもはや、スーパーホテルという宿泊施設を作りに海外に行っているのではありません。思いと理念を世界に広めに行っているのです。世界の人々が私たちの「おもてなし」に感動し、自分たちの文化に採り入れる。そんな未来を見据えて。