コンサルタント本部 部長

 「一人で三役こなしなさい」

 20年以上前の入社当時、会長が何度も話してくれたのが、この言葉。配属された総務部では、メイン担当の経理だけでなく、いろいろな仕事に興味を持って顔を突っ込みました。

 その後、財務、建設企画とまったく異なる仕事を手がけ、現在のコンサルタント本部に。実は入社当時から現在まで、新たに手がける仕事は、すべて知識も技術も経験も、ゼロ。異動するたび、イチから勉強をしています。

 三人分、時にはそれ以上の仕事をしようとすると、それだけ様々な業界、役割の人と関わることになります。相手は建築家や銀行、フランチャイズのオーナーといった、その道のプロばかり。その相手から仕事のやり方を学ぼうと、貪欲に疑問をぶつけました。結果、仕事を通して自然と事業に関するノウハウが身につけられたのだな、と感じています。

 また、まっさらな視点で仕事に臨むと、業界のルールや慣例に縛られない、自由な発想でアイデアや提案を生み出すことができます。建築企画部時代には、それまでのホテルにはなかったシンプルな外観・内装を採用し、大きなコストダウンを実現しました。それができたのも「一人で三役」という言葉に従い、様々なことに興味を持って仕事に挑んでいたからだと思っています。

 コンサルタント本部の業務は、既存のスーパーホテルの品質と満足度の向上。そして、出店候補地の立地分析です。土地を訪れるビジネスマンの数、競合ホテルのサービス内容、近隣にある企業数といった独自の視点で収集した情報を駆使して分析を行います。この情報の精度が、成功のカギとなります。ただ情報の過信は禁物、と私は考えています。

 データ上は「観光資源は多いが、工場やオフィスが少ない」という土地がありました。私は「訪れるビジネスマンが少なく、出店には不向きである」と考えました。ただ、情報は情報に過ぎない。やはり自分の目で見なければ、と足を運んでみると、確かに観光地としては魅力的ですが、それ以外の産業が少ない土地でした。ですが、その観光をレジャー産業として発展させようと、多くのビジネスマンが訪れていたのです。また、産業の誘致も積極的に行われてました。一方で老舗の旅館が多く、客室数は不足していた。「ここならスーパーホテルのビジネスが成立するだろう」と感じました。情報だけでは見えない真実の姿が、経験を通して感じられたのです。

 私たちが大切にしているのは「感性」です。情報を生かすも殺すも、私たちの感性次第なのです。感性は様々なことを経験する中で磨かれます。会長の「一人三役」という言葉は、「感性を磨け」という意味もあるのです。この言葉を胸に仕事に臨んでいると、いまも新しい刺激に出会うことができます。そして日々、経験を通して学び、成長し、過去の自分を超えられていると感じています。それが楽しくもあり、「スーパーホテルを超えた、より良いホテルを実現したい」というモチベーションにつながっています。