共同研究パートナー
出張や旅行で普段よりも疲れたとき、体を休め、リフレッシュできるのはなんといっても温泉浴です。日本人は温泉を好み、湯治(とうじ)という言葉もあるほどです。温泉には血行改善や鎮痛作用に加えて睡眠の促進作用があることが分かっています。 その理由は、温泉はその多くが強い加熱効果を持ち、家庭浴よりも深部体温が上がるからです。人間の体は、深部体温が上がり過ぎないようにコントロールされているため、急上昇した深部体温を急激に下げようとします。このとき、人間は強い眠気を催すことが分かっています。 また、その後深夜に普段よりも深部体温が下がることが分かっており、このことは熟眠感を与えることが分かっています。 今回のスーパーホテルの天然温泉の研究においても急激な深部体温の上下動とこれに起因する寝つきのよさが実証されました。私も出張の際にはぜひ利用したいと思います。
上村 佐知子 准教授
秋田大学大学院医学系研究科
保健学専攻理学療法学講座准教授
研究監修者
『スタンフォード式最高の睡眠』著者 西野精治 氏
株式会社ブレインスリープ創業者兼最高研究顧問
医学博士、精神保険指定医、日本睡眠学会専門医
入浴では、一時的に体の中の温度(深部体温)が上昇し、その後の下降時期に就寝することで熟睡が得られることがわかっています。また、温泉と通常の入浴を比較した結果、温泉浴では同じ条件(通常の入浴と同じ温度・入浴時間)でも深部体温の上昇と就寝時の下降がより顕著であり、それに伴ってより深い睡眠が得られることが確認されました。
検証方法
\1人9日間の宿泊!/
対象者は20代~60代の18名。それぞれが3パターンの宿泊を体験。
「脳波」「アンケートでの感想」「体温」 の3 方向から検証を行いました。
①就寝前に温泉に浸かる日(温泉条件)×3日間
②就寝前に客室の湯船に浸かる日(客室浴条件)×3日間
③朝にシャワーを浴びる日(朝シャワー条件)×3日間
■行動制限
いつもの就寝時間と起床時間を設定する
生活リズム、日中の活動内容、就寝環境(部屋/温湿度/寝具)、食事(カフェイン量)を極力統一する
試験日はアルコール、昼寝を禁止する
測定結果
\結果にオドロキ!/
脳波測定で顕著な差が出た「寝つくまでの時間」
かかった時間
※分換算:温泉9.3分、客室浴11.3分、朝シャワー14.5分
※18名のデータ
※統計結果①:Friedman検定から3条件の間に有意差あり(p<0.05)
※統計結果②:ボンフェローニ検定から温泉と朝シャワーの間に有意差
あり(p<0.05)
入眠潜時(寝つくまでにかかった時間)が
朝シャワー ⇒ 客室浴 ⇒ 温泉 の順で短くなる傾向に
アンケートでは「起床時の眠気」明らかに違う
※18名のデータ
※統計結果①:Friedman検定から3条件の間に有意差あり(p<0.05)
※統計結果②:ボンフェローニ検定から温泉と朝シャワーの間に有意差
あり(p<0.05)
起床時眠気(起床時に意識が
はっきりしているか)・
入眠と睡眠維持(寝つきの良さや
安定して眠れたかどうか)が
朝シャワー ⇒ 客室浴 ⇒ 温泉 の順で高くなる傾向に
起床時眠気
2. 開放感がある
3. 頭がはっきりしている
4. いますぐ、調査にテキパキと答えられる
入眠と
睡眠維持
2. 寝つくまでにウトウトしている状態が少なかった
3. 寝つきが良かった
4. 睡眠中に目が覚めなかった
5. 眠りが深かった
夢み
2. 夢を見なかった
疲労回復
2. 身体がシャキッとしている
3. さわやかな気分である
睡眠時間
2. 睡眠時間が長かった
体温測定によって「深部体温」との関わりが明白に
■睡眠と深部体温の関係
良質な睡眠をとるためには、深部体温(体内内部の温度)を下げることが重要
就寝前に一時的に深部体温を上げると、就寝する時には スムーズかつより大きく深部体温が下がる
深部体温の変化が
朝シャワー ⇒ 客室浴 ⇒ 温泉 の順で大きくなる傾向に
温泉条件での声
\こんなコメントが!/
20代男性
20代女性
40代男性
50代女性
20代女性
40代男性
40代男性
50代女性
温泉の入り方
\西野先生オススメ!/
スーパーホテルで「ぐっすり」を体験! 宿泊タイムスケジュール
スーパーホテルで宿泊する際に快眠するための、おすすめタイムスケジュールです。脳は「いつも通りのパターン」を好む特徴があるので、自宅でも同じようなルーティーンを繰り返すことが安眠につながります。ご宿泊の際、目安としてお試しください。
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15:00〜チェックイン (15:00〜)チェックイン
早めにチェックインできる方は、15時に入ってゆっくりしましょう。 カフェインの摂取は、この時間までにとどめます。 -
夕食◆ 近隣飲食店との連携
夕食はできる限り早めに、かつバランスの良い食事を心がけましょう。深夜の食事は睡眠を妨げます、また眠りに影響を与えるアルコールや脂っこいメニューはできれば控え、消化の良いものを選びます。
<睡眠に良い栄養素>
- トリプトファン…豆類、ナッツ、乳製品
- マグネシウム…バナナ、ほうれん草
<目安となるアルコール量>
- ビール(アルコール度数5%): 250~350ml程度
- 日本酒(アルコール度数15%): 90ml(1合未満)
- ウイスキー(アルコール度数40%): 約30~40ml(シングル1杯程度)
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リラックスタイム
就寝に向けて体と心をリラックスさせる時間を確保しましょう。脳を休ませるため、スマートフォンやパソコンの仕様を極力控えます。メールチェックなども最小限に。照明は明るすぎず、気持ちが落ち着く暗さがおすすめです。
スーパーホテルの客室は気持ちが落ち着くよう暗めに設定されています。 -
就寝準備 ◆ 超・ぐっすりパジャマ(一部店舗を除く) ◆ 天然温泉 / 大浴場
就寝90分前までに入浴をすませましょう。
シャワーだけでなく湯船に15分ほど浸かると体温が一時的に上昇し、そのあとスムーズに低下する過程で、副交感神経が優位になり深いノンレム睡眠を誘発します。
これ以降は軽いストレッチやヨガなどの深呼吸で心身を落ち着けたり、静かな音楽や読書を楽しんで。入眠後には比較的短時間で一番深いノンレム睡眠にたどり着きます。約90分間ノンレム睡眠が続き、レム睡眠になりこれが第1周期目です。快眠か否かは最初のノンレム睡眠の質で決まるといわれており、だからこそ就寝前のルーティーンが大事なのです。
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就寝
できるだけ普段と同じ時間に就寝しましょう。規則正しい毎日が眠りの質につながります。寝室の環境は暗く静かで、快適な温度・湿度を保つことが大事。
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起床◆ 健康朝食
起きたらまず朝日を浴びましょう。カーテンを開けて自然光にふれることで体内時計がリセットされ、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌が調整されます。
また、より覚醒を促すためには朝食が肝心。咀嚼によって体が目覚め、体温上昇でパフォーマンスが上がります。タンパク質と炭水化物をバランス良く食べることで、エネルギー補給だけでなくホルモンバランスの調整にも役立ちます。
睡眠の質は、外的、内的、身体的な要因の影響を受けることが知られています。部屋の温度が高すぎたり、心配事があったり、体に痛みがあると良い睡眠が得られません。特に、寝室の条件や就寝前の生活習慣が睡眠に大きな影響を与えます。スーパーホテルでは、宿泊者が快眠できるようにさまざまなこだわりや工夫がされています。
それらに加え、チェックイン後には良い休息と良い睡眠を得るための宿泊タイムスケジュールを今回提唱しました。基本になるのは、就寝前にリラックスし、脳のスイッチを切ることと、就寝時に自然な体温の低下を促すことです。また、夕食も睡眠に影響を与えますので、栄養バランスが良く消化の良い食事を心がけてください。質の良い睡眠が明日への活力をもたらします。